公開当時のキャッチコピーは“ハラゴシラエして歩くのだ”だった。
「この作品を観たら必ずおにぎりが食べたくなる」と観た人は誰もが言う。
その作品を、何を食べながら観る?
あまのじゃくな気分で、「おにぎり以外」を勝手にノルマにしてみた。
フィンランド・ヘルシンキの街中に佇むこじんまりとした食堂、
ruokala lokki–かもめ食堂。
オーナーは日本人のサチエ(小林聡美)。
お客さん第一号は、日本ひいきの地元の青年。
けれどさっぱりお客さんは増えない。
偶然の出会いから、ミドリ(片桐はいり)が手伝うも、状況はなかなか変わらない。
けれどサチエはちっともぶれない。
やがて小さな食堂には、いろいろなものを抱えた人たちが少しずつ集まりはじめる。
北欧の家具や食器は日本でも大人気。
この映画がそれに拍車をかけたという噂も。
噂通り、『かもめ食堂』には、その心地のいいストーリーとともに、
お店のテーブル&イス、キッチンツールからキャストの服まで、
どれもオシャレなものがたくさん登場する。
サチエの着るシャツブラウスのかわいらしいことと言ったら。
マサコ(もたいまさこ)の鳥の柄のシャツも素敵。
と、ゆるやかなストーリーなのに、かわいい! 素敵! と観ていると、
意外と忙しいかもしれない。ハハハ。
さて、何を食べるかである。
例のおにぎり(梅、鮭、おかか)という強敵(エ、なんで敵!?)のほかにも、
鼻とお腹を刺激してくれるのが、シナモンロールの存在。
「なぜ、ここにコーヒーとシナモンロールがないのっ!」と、憤慨する人で
当時の映画館では騒ぎが起きなかっただろうか?
もしかして、限定でシナモンロール発売していたか?
ということで、おにぎりとほうじ茶、または、シナモンロールとコーヒーの王道でどうぞ!
でも、食べ頃シネマ的には、ミネストローネをご提案。
映画を見始める前に、タマネギ、ニンジン、セロリ、ジャガイモ、
ベーコン、キャベツ、トマトなどを角切りにしてつぶしたニンニクを入れてお鍋で軽く炒める。
後はお水とコンソメスープの素を入れてコトコト弱火で煮込むだけ。
観ている間に、やさしい香りでお部屋が満たされると、きっとお腹がグーッと鳴るだろう。
そうしたら、お気に入りのスープ皿にミネストローネを注いで、ゆっくりいただきながらどうぞ。
映画の最中に面倒くさいって!?
いえいえ、途中で一時停止をしたってかまわない。
『かもめ食堂』は、そんな映画なのだから。
(kuri)
食べシネでも利用中!