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イル・ポスティーノ | 食べ頃シネマ
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イル・ポスティーノ

ドラマ

「イルポスティーノ」はイタリア語で郵便屋さんのこと。

パブロ・ネルーダはチリが生んだ偉大な詩人。この映画は実在の人物をモデルに描かれた作品だ。
物語はパブロ(フィリップ・ノワレ)がチリからイタリアの小さな島に亡命してきたところから始まる。

漁師の息子マリオ(マッシモ・トロイージ)は、父の跡を継がず、イルポスティーノとして仕事を得る。
郵便配達先は、パブロ宛のみ。チリはもとより世界中のファンから彼の元にはファンレターが届くからだ。
街から自転車に乗り、パブロの家を訪ねるマリオ。
彼の暮らしぶりに興味が湧くし、何より詩に興味を抱く。
マリオが詩作について教えを乞うと、パブロが言った言葉が素敵だった。
「入江に向かい、ゆっくり岸を歩きなさい」

まったくもって酔わせるセリフだ。
で、どうせならもっと酔いたいので、赤ワインをグラスでどうぞ。
フォルムの美しい高そうなワイングラスは、No no!
カフェグラスでSalute!

マリオは島のパブで働くベアトリーチェ・ルッソ(マリア・グラツィア・クチノッタ)に恋をする。
パブロにこの島で美しいものを言ってごらんと聞かれ、悩んだ末に答えたのは
「ベアトリーチェ」

まったくもって飲みたくなるセリフだ。
そうよ、ルッソ→ロッソにかけて赤ワインなのだもの。
ちなみにLussoとは、イタリア語で贅沢という意味なんですって。
彼女に出会い、恋をしたことは、マリオにとって最高に贅沢なことだったのかもなぁなんて。

地位も暮らしも異なるパブロとマリオだが、二人は交流を深め友人同士となる。
派手にドラマチックにではなく、その自然な進みが心地よく、ワインがすすみそう。
そうそう、ワインのつまみはオイルサーディンがいいでしょう。
こちらも気取らず、缶詰のままでいっちゃいましょ。

二人の友情は、二人の運命は・・・・・・。

運命と言えば、マリオを演じたマッシモ・トロイージ、この映画の脚本も担当していた彼は、
この撮影が終了した12時間後に、心臓病で亡くなった。
手術を延ばし、命がけでこの作品を完成させたのだ。

彼にとって美しいものは何かと聞いたら、「映画」と答えたのかもなぁ。
(Kuri)

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