食べ頃シネマ初のイラン映画の登場。
「運動靴と赤い金魚」
ファーストシーンから、グッと目線を引きつけられる89分。
兄のアリと妹のザーラ。
貧しい暮らしの中で、母を手伝い、父を気づかういい子たち。
ある日のお使い途中のこと。修理を済ませた妹のピンク色の靴を、アリは途中で無くしてしまった。
明日から学校に履いていく靴がないと泣く妹に、兄は、自分の運動靴を一緒に使うことを提案する。
ぶかぶかの運動靴を履きながら、放課後は急いで兄の元へ。
途中の道で運動靴をバトンタッチして、学校へ走って向かうアリ。
兄弟のもとに、妹の靴は戻ってくるのだろうか、そしてアリの運動靴はどうなるのか。
靴を無くしたことを「お父さんにはだまっていて、泣くな」と妹に言う兄・アリ。
そのアリの目からは大粒の涙がぽとぽとこぼれます。
白かったはずの運動靴は、2人が交互に履くことで、そしていろいろな(靴的)運命をたどることで
汚れて、ボロボロになっていきます。
健気な兄妹を見ながら、もう親戚のおばちゃん以上の気持ちで、
悪い方にいきませんように・・・・・・と祈りたくなってしまうシーンがいくつもあって、
気がつくと少し前のめりで画面を観てしまうこの感覚。
用意したいのは、無花果。
フレッシュなものを半分に切って、いや包丁で切るというより、手でズワッと割くように半分にして、
そのままかぶりつく感じでいいのです。
個人的には皮ごといってほしいのです。
皮の少しザラッとした感触、種のプチプチっとした食感、劇的な甘さではなくほんのりした甘みも
「運動靴と赤い金魚」の世界観にハマるのではないでしょうか。
凍らせておいて、映画のはじまりから皿の上に出しておき、
中盤、喉がなんとなく渇いてきはじめたとこころで、シャーベット状の無花果を食べるのもまたおすすめ。
観終わってホッと一息ついたところで、続きを食べようとお皿を見たら
あれ、もう無花果は残っていなかった。
そんなところも映画の余韻にはぴったりくるような。
(Kuri)