2013年夏、テレビもインターネットも新聞も、猛暑の話題で持ちきりだ。
現段階では、2013年の「今年の漢字」は「猛」なのではないだろうか。
巷では涼しく過ごすためのグッズが大流行。
特に機能性の高い衣料品は、その充実度も高い。
この映画「十二人の怒れる男」は、ひんやり感じる下着などあるはずもなく、
「クールビズ」なんて言葉も生まれるずっとずっと前、1957年の作品。
17歳の少年が起こした父親殺人の裁判。
そこに陪審員として集まった12人による審議と心理。
有罪か無罪かを決するには、12人の全員一致の意見であることが条件だ。
有罪11、無罪1。
映画はここから始まった。
12人が審議の上に出した結論とは。
12人が繰り広げる心理と真理とは。
陪審員である彼らは、皆、襟のあるシャツを着ている。
そのシャツにみるみるうちに染み出てくる汗。
扇風機は大した威力もなく、やがて夕立も降り、窓を閉める。
そんな環境だけでも十分暑いというのに、
12人が一人の男の運命を左右する有罪か無罪かを決める場となれば、
その緊張も相まって、ジリジリと暑さがこみ上げるのだ。
だったら冬場に見ればいい?
もちろんその手もある。
しかし、敢えて夏に見ることにしよう。
そして、傍らにはかき氷を用意するべし。
カキンカキンに冷えた氷をシャキシャキ言わせながら崩して食べる。
その崩しながら食べる感じは、12人の心のどーんとそびえていたものが
どうなっていくかにちょっと通じるような気もするのだ。
「ってことは、結果は……なのね」と先を急ぎなさんな。
「十二人の怒れる男」は、そのジリジリとする過程が大切なのだから。
ちなみに、この映画のキーパーソンである陪審員8番を演じるヘンリー・フォンダは、
1982年の8月12日に亡くなっているそうだ。
だからというわけでもないけど、やっぱり、暑い時期に見ようではないか!
(kuri)