リンゴは、しっとりしているけど、ベチャッとはさせずに仕上げるのがコツです。
それが、「シェルブールの雨傘」に合うリンゴのコンポートなのです。
歌います。すべての台詞にメロディーがついていますが、気がつくとそれはあまり気にならなくなるのが不思議です。
ガソリンスタンドに勤める青年ギイと、傘店の娘ジュヌヴィエーヴは恋する二人。
結婚して子供が出来たら、女の子にはフランソワーズと名付けようと話すほど恋する二人。
程なく、ギイには召集令状が届き、二人は離ればなれになる。
帰ったら一緒になろうと約束し、幾度かの手紙のやりとりもあったが、
二年の月日は二人の運命を変えていた。
結婚したいと訴える娘に母は「早すぎる、まだ若すぎる」と強く反対します。
そんなに強く反対しなくても……と思うけれど、ジュヌヴィエーヴが16歳と知り、「そりゃあママに一票だわ」と思ってしまったのは、夢がないでしょうか?
しかし、二人にはちゃんとそれぞれの人生が訪れます。
人生はいろいろだけど、正解とか不正解はないってことがわかる気がするのです。
いろいろといえば、この作品の色使いのステキといったらありません。
観劇デートの時のギイのピンクのシャツとジュヌヴィエーヴのピンクのワンピース。
出発するシェルブール駅のホームでのギイのブルーのシャツとジュヌヴィエーヴが手にする青いシフォンのスカーフ。
ママのバスローブと壁紙の色と柄。
ギイの住まいの壁の色。いろいろ。
カラフルだけれど、いわゆるポップというのとはまた違うセンスの良さが、
しっとりしているけどベチャッとはしていない赤ワインの香りただようリンゴのコンポートにぴったり合うはず。
水切りヨーグルトを添えれば、大人の味わいに。
いつまでも耳に残る主題曲を口ずさみながら・・・・・・。
(kuri)